五弦のviolin-viola

Violinが製作されるようになった1500年代の後半から1600年、1700年の時代には、弦楽器の黎明期とでもいうのであろうか、いろいろな珍しい弦楽器が作られた。
五弦の楽器、六弦の楽器、ヴィオラ・ダ・モーレのように、共鳴弦を持つもの、調弦も5度調弦やギターやビオラ・ダ・ガンバのように4度調弦をするもの、スコルダトゥーラ(scordatura)と言って、曲ごとに、或いは曲の途中ででも、その都度、調弦を変えるビーバーの曲のようなものも数多くあった。

その中でも、極限られた数本しか残っていないのだが、ビオラの音域から、ヴァイオリンの音域までをカバーする、五弦のviolinviolaと呼ばれる楽器があった。
勿論、楽器本体の大きさがviolaの大きさに近ければ、E線はviolaの音がするし、少し小ぶりで、violinの大きさに近ければ、C線はviolinのような深みに欠ける音になるはずである。
つまり、いずれにしても、どっちつかずなのだ。
という事で、その楽器は、廃れてしまって、ほんの僅かが楽器博物館に保存されているだけである。

しかし、子供達のオケ練習の指導をしていると、violinに対して注意をしながら、直ぐにviolaの注意をしなければならない時が往々にしてある。
そのつど、楽器を持ち替えて指導するのは大変な時間のロスになる。
チェロやコントラバスの場合のように、楽器が大きければ仕方がないのだが、violaviolinになると持ち替える暇を惜しんで、持っている楽器のままに、ついつい読み替えて演奏してしまう。

と言う事で、利便性と言う事で、楽器店に無理を言って、特注で五弦のviolinviolaを製作してもらった。
私個人としては、芦塚音楽研究所の演奏団体であるFiori musicali baroque ensembleのための古楽器としてbaroque仕様として注文したかったのだが、利用頻度と言う事では、毎週のオケ練習にはかなわない。
仕方なくモダン仕様で作らざるを得なかった。
演奏するにしても楽器的にはbaroque仕様の方が、駒が広い、ネックが短い、等と言う演奏上の利点がいろいろと多く、5弦のviolaには、適しているのだが、あくまで利用頻度の問題であるから、それは致し方ない。

 

             

しかし、実際に5弦のviolaを演奏してみると、頭がviolinとして演奏している時には、violaのpositionが取れないし、violaとして演奏している時には、violinの記号の読み替えが、瞬間的に出来ない。困ったものだ!!

2013年11月18日のblog
な!な!何と、市販の5弦のviolaが売ってあったのですよ!
さっそく、注文して、今日、椎名町の事務所に届いたそうです。
早速、バイクで椎名町まで出かけて、音や状態のcheckをしてみます。
勿論、baroque楽器と同様に、(というか、楽器類は全部私個人でお金を出していますから、baroque楽器に限らず、5弦のviolinviolaも、私の個人所有の楽器です。)


今回、手に入れた5弦のviolinviolaですが、大元になった楽器が、オーダーメイドの場合には、violaをベースにして作っています。
という事は、E線が、violinに比べて、非常に長くなっています。
という事で、violinのE線では、届きませんから、代わりにマンドリンのE線を使用しています。

左の写真の今回のviolinviolaは、ベースとなった楽器はviolinです。
ですから、E線は通常のviolinのE線を使用できます。
しかし、C線は、violaのC線では長すぎるし、少し太すぎるようです。
一番細い柔らかめのviolaのC線を使用するか、別の楽器の弦で代用するか、目下考慮中です。