半音の鍵盤は今はもう国際条約で禁止されている象牙です。少し見えている譜面台も移動や、しまう時は取り外します。
閉管にしても巨大なパイプはボルトで本体に取り付けられています。
閉管なので理論気柱は2倍になります。このパイプが1.5mあるとすれば実際の音は3mのパイプの長さから出る音になります。
金管ですが、通奏低音用なのでリコーダーに近いとてもやわらかい音に仕上げてあります。音は希望でどんな音でも出せるのです。
芦塚先生がまだ若い頃、(教室を作る大分前の事ですが)お弟子さん達を引き連れて、教会を中心として、カンタータの演奏をしていました。まだ昔の事ですから、教会といってもパイプ・オルガンの無い教会の方が多かったようで、大型の電子オルガンが大半でした。「何とか、持ち運びの出来るパイプ・オルガンは無いのだろうか?」そういった疑問を持って、当時パイプオルガンの製作をしていた、黒田オルガンの黒田さんの所を訪問しました。その当時(多分、今現在も)移動式のパイプ・オルガンはポジティーフ・オルガンと呼ばれる、○○で一段のペダル無しの物でも250s近くあり、専用のトラックを借りて専門の業者の方が搬入搬出をしないと、とても移動が無理だと云う事が分かりました。芦塚先生のイメージするパイプ・オルガンは通奏低音用のオルガンでありカンタータやソロの伴奏用(通奏低音用)のオルガンなので1列55鍵で充分だったのです。
「なけりゃ、作ればいい!」芦塚先生のいつもの考え方です。パイプはハンダなの重いのは当たり前です。ならば、閉管にすれば半分の長さで済みます。長い大きなパイプはセパレーツにすれば良い。東京と大阪では電圧が違う。だから、肺に弁を入れよう。等等30項目近くのアイデアが出ました。
黒田オルガンの製作の人達が面白がって、材料費だけで作ってくれました。パイプは西ドイツのクライスのパイプです。これはどうしようもありません。世界初の分解式パイプオルガンです。低音のオクターブを2個のブロックにして中高音とモーター部分の三つに分解できるようにしました。
あとはオルガンを乗せるためのテーブルです。本来は卓上式なので必要はないのですが、演奏会場では作っておいた方が安全ですから。
ミニパイプオルガンですが、世界初の実音の(オクターブ上の音でない)本物の通奏低音用オルガンの出来上がりました。
仕様としては100席から500席ぐらいまでの(ベストは250席ぐらいで)会場で、オーケストラはイ・ムジチと同じぐらいの(15〜16名ぐらいの)編成を想定しています。(ビバルディ時代のオーケストラの編成は原則としてそんなものです。)
と言うわけでソロヴァイオリンの通奏低音や、トリオ・ソナタにの編成では、オルガンの音量が少し強すぎるかもしれません。ビバルディのヴァイオリンコンチェルトやソロカンタータにとっては音量的にも申し分はないと思います。
このパイプオルガンを作ってもう30年近く(以上?)たちましたが、まだオルガンで通奏低音を演奏するということは一般的にはならないようで活躍の場は少ないようです。
芦塚先生のパイプオルガン